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第25章 - 顧客と会おう

物理的な本社オフィスがなくてもお客様を迎えることができる

あなたのバーチャルオフィスに招待しよう!

前の第24章でチームメンバーとのつながりについて話しましたが、私は顧客とも定期的に会うことが重要だと考えています。私はいつもそうしてきました。毎週、Nozbeユーザーとミーティングをしています。

そうですね、もちろん規模が大きすぎることは分かっています。

700,000人以上のNozbeユーザーがおり、数万人の有料会員がいます。いったいどうやって私が全員と会うことができるでしょうか?もちろん、それは不可能です。そうしようとも思いません。目標は全員に会うことではありません。チャック・ノリスだけが唯一それを成し遂げることができるかもしれません。ここで言いたいことは、何人かの顧客と会うということを継続し、有意義な関係性を築いていくことが重要だということです。

会う顧客をどのように選んでいるか?

場合によります。しばしばソーシャルメディアやメールで私に連絡をしてくる人がいて、直接話をしたほうがいいと思った時にはその人を招待することがあります。しかし、通常はカスタマーサポートチームが仲介をしてくれます。彼らが私たちの会社やサービスについて興味がある人とやり取りしていて、その中で私とぜひいろいろな話がしたいという人がいる場合には、CEOと話したいかどうか声をかけています。何千人もの顧客の一人一人との対話に社長が対応していると知り、たいてい人々は驚いた反応を見せます。人々は特別に扱われていると感じ、その結果、素晴らしい対話につながります。

私の方こそ顧客のビジネスに興味を持っている!

私たちのアプリは消費者だけでなく、様々な業界や業種のビジネスをリードしている人々にも利用されています。私たちがほとんど知らない業界の人から連絡が来た場合、カスタマーサポートの担当者は、私と話をすることを積極的に提案するということがよくあります。私が非常に好奇心旺盛で、ハイテク業界以外の世界について学びたいという気持ちが強いことを知っているからです。そうして私は、保険会社や不動産、製造工場、デザインスタジオ、マーケティング会社、法律事務所、またはモーターホームの製作者など様々な種類のビジネスを運営している人々と話をすることができました。全て非常に興味深いのです!

このような対話をするおかげで、彼らがどのようにしてNozbeを見つけたか、どのように使っているかということを知ることができるだけでなく、自分の視野を広げることができ、今まで聞いたことのないような本当に素晴らしいものを作っているビジネスの世界などを知ることができるのです。

世界中の誰とでもミーティングができる!

私は物理的なオフィスを持っていませんが、そのことを利点として利用しています。私はバーチャルのコーヒーを顧客と一緒に飲むことができるので、彼らにわざわざ私のところへ飛んでくるように頼んだり、私が彼らの方へ訪問する必要もありません。もちろん、実際に会うことができればもっと意義のある会話をすることができるかもしれませんが、会社のCEOとして顧客と個別に話す機会を設けているという事実だけでも十分に意味があるのです!そのことを人々も感謝してくれています。

顧客とのミーティングを簡単にスケジュールするには

バーチャルで直接会うことがいかに素晴らしいアイデアであるかを説明しましたが、今度はいかに簡単な方法でミーティングをスケジュールしたらいいのかということを見て行きましょう。*

スケジューリングのためのアプリを使う

私は専用のアプリを使っており1、このようなミーティングに充てるためのコマを週にいくつか決めてあります。通常は火曜日と木曜日の中央ヨーロッパ時間の午後4時です。この時間は私の一日の仕事が一段落している時間であり、また、ヨーロッパの顧客との相性もいいため都合がいいのです。この時間はアメリカのユーザーにとっては仕事始めの時間でもあります(ニューヨーク時間の午前10時)。カリフォルニアの顧客の場合には、例外的に私の時間では夜にミーティングを設定しています。

専用アプリのおかげで、私はリンクを送るだけでよく、相手も都合の良い時間を選ぶことができます。時間を決めるために無駄なやり取りをしなくて済みます。相手が30分程度の空き時間を選んでくれればそれだけでいいのです。文字通り、ワンクリックでミーティングの約束ができます。

このアプリは私のチームのGoogleカレンダーとも同期しているので、チームの皆が私のミーティングの予定を確認することができます。多くの場合、チームはこれらのカレンダーを元にして、私に質問や提案事項などのトピックスを送ってくれます。

バーチャルミーティングのための専用ルームを設置する

私の会社ではビデオ会議ソフトウェアを使っていますが2、このソフトウェアでは会議ごとに専用のバーチャルルームを持つことができます。お客に対しても同じスタンスです。”Nozbeインタビュー”のミーティングルームがあり、私と話したい顧客にはその部屋へのリンクを送っています。顧客はその部屋へのリンクが入ったミーティングの確認メールを受け取ります。

誰にでも同じようなリンクを送っています。そうして、顧客は参加をリクエストしなければなりません。こうすることで、30分のミーティングが終わりそうな時、他の顧客が待機ルームで待っていれば、現在の会話を丁寧に終わらせる方向へ持っていくことができ、終わったらすぐに他の顧客を部屋へ入れることができます。

会議を有意義なものにするために会話のテンプレートを持つ

私はProductive! Magazine3 を運営していた頃、毎号の表紙を飾るために思想家やリーダーにインタビューしていました。一般的に考えられるのとは反して、とても頭のいい人と素晴らしい会話を繰り広げるのは時に非常に難しいことがあります。彼らは素晴らしい人々で、通常であれば私たちはすぐに意気投合しますが、時には気分が乗らなかったり、単に話が弾まないこともあるので、何を聞くべきなのかを事前にしっかりと計画しておく必要があります。そのため、顧客とのインタビューにはいくつかのテンプレートを用意しています。

もちろん私はロボットではありませんし、テンプレートに100%固執するつもりも全くありませんが、何について話すべきか、顧客に何を聞くべきかということのガイドラインとしてテンプレートの存在は役に立っています。テンプレートがあればいい質問にもつながりますし、ミーティングを単にアプリや私自身について話すだけでなく、顧客自身のことや顧客のニーズについても聞き出すことができるようにリマインダーとしても機能しています。以下、私が普段用意している質問の一例を紹介します:

  • 彼らの会社は何をしている会社か? - 彼らについて聞くことから始めます。最初の質問の後で、彼らのビジネスやバックグランドをより良く知るためにさらに質問をしていきます。
  • どのようにしてNozbeと出会ったのか? - 相手のことを少し知ることができたら、次に私たちのアプリについて、そして彼らの会社において私たちのアプリがどのような役割を果たしているのかを聞き出します。誰が一番最初に使い始めたのか、チームの全員が使っているのか、周りの人にも使ってもらうようにするのにどれくらい苦労したのかなどを聞きます。
  • Nozbeがどのような問題解決に役立っているか? - ここで、彼らが抱えている課題や、それに対して私たちのアプリがどのように解決に役立っているのかを尋ねます。Nozbeをどのようなことに使っているのかが質問の中心です。タスク管理として、社内のコミュニケーションとして、ドキュメントの管理として、それら全て、あるいは他の使用としてなどについて聞きます。
  • Nozbeを使っていて何らかの問題があるか? - ここで、何か私にできることを確認します。私たちのソフトウェアを使っていて何か問題が発生しているかを把握します。彼らが気に入らない機能があるかもしれません。何か機能上できない作業があるかもしれません。ここでは多くの場合、アプリの使用について改善できることはないか顧客と一緒に考える時間となります。ひょっとすると、彼らがまだ気づいていないようなソフトウェアのより高度な使い方があり、それらを実装できるようお手伝いすることもあるかもしれません。
  • Nozbe以外に日常的に使っているソフトウェアはあるか? - 次に、相乗効果をもたらすことができるかを見ていきます。もしかしたら、私たちのアプリと連携する他のツールを使っているかもしれません。ワークフローの改善に何か手伝えることがあるかもしれません。私の技術的な専門知識を使って手伝える可能性を探ります。
  • 他に私がサポートできることはあるか? - 会話の終わりに彼らが他に何か質問があるかを確認します。私たちの会社の運営のやり方について聞きたいことがあるかもしれません (やっとこの本を紹介できるようになります!)。最近私が書いたNozbeブログや個人ブログの内容について聞きたい人がいるかもしれません4

可能であれば、個人的なことを話そう人と人のつながりを大切に!

これらの質問リストがあるおかげで私はうまく会話を進めることができるようになりました。しかし、それだけではありません。会話の中で、私はどのくらいお互いが人としてクリックするかを見るようになりました。結局のところこれはビジネスの関係だけではありません。人間二人が対話をしているのです。

そのため、会話の流れにもよりますが、顧客や雰囲気が許してくれるなら、私はよりプライベートなことを話すこともあります。私たちの情熱や、苦労話、趣味、家族の話などです。どのように私がiPadをメインにして仕事をしているのか5、私が最新のiPhoneを買うつもりなのか、またはそれについてどう思うかなどについて聞かれることもよくあります。

それが顧客と1対1で会うことの素晴らしいところです。私のソフトウェアを好んで使ってくれている人々のことを知ることができるだけでなく、もっと大事なこととして、異なる業界のことを学ベる機会であり、さらに世界中のとても興味深い人たちと関係を築くことができるということなのです!

このような会話の中で、私は私の持っているもう一つのスーパーパワーを使っています。それは私が多言語に通じているというものです。私は母国語だけでなく(ポーランド語)、英語(当たり前かもしれませんが!)やスペイン語、ドイツ語も流暢に話せます。こうして、顧客の言語で私が話し始めると、顧客をいい意味で驚かすことができるのです。

顧客とのミーティングにどのくらいの時間を使うべき?

多くのビジネスオーナーはとても忙しく、顧客と会うための時間をスケジュールするなどとは考えないようです。もちろん、私もそのような忙しい人の中の一人です!しかし、たった少しの時間を投資するだけで、長期的な効果をもたらすのです!顧客とこのようなミーティングを多く経験する中で、私とのビデオ会議が可能であるということは考えてもみなかったことなのでとても驚いた、という意見をたくさんの人から聞きました。それこそが私がやろうとしていたことです。そして、彼らも今度は自分のビジネスで同じことをしてみるかもしれません。

実際には、それほど多くを必要としません。さきほど説明したように、やり方は極めて単純です。私は週に1時間の空きを2つ確保しています。つまり、週に最大4つのミーティングができるということです。

小さく始めることが重要です。ミーティングはデフォルトで30分にしておくことがポイントです。そうすることで、私が自分の時間を大切にしているだけでなく、何よりも顧客の時間を大切に考えているという明確なメッセージとなります。しかし、ミーティングがとてもうまく行き、お互いがもっと話したいと感じていて、さらに私の次のスケジュールが空きであれば、私はしばしば顧客にあとどのくらい時間があるかを尋ね、もし可能であれば1時間でもそれ以上でも話すこともあります!

繰り返しになりますが、それは人と人とのつながりなのです。ビジネスがビジネスから買うのではありません。人が人から買うのです。

プロのヒント: 会話を録画してみよう。ただし決して公開しないように!

私は顧客との会話を録画することがあります!当然のことながら、相手の同意がある場合に限ります。チャットが始まったら、私は会話を録画してもいいかどうかを相手に丁重に尋ねます。大抵は問題ないと言ってくれます。それから私はビデオ会議ソフトウェアの録画を開始し6、私たちは話し始めます。

会話が終了したら、録画をビデオストレージにアップロードし7、相手の許可を得て、私のチームの限られた人がそれを見れるように設定します。もちろん他の誰も見ることができません。

各ミーティングにはNozbeに各タスクを作ってあります。ビデオをアップロードしたら、私はそのタスクにコメントを追加し、そのミーティングをコーディネートしたカスタマーサポートの担当者に金曜日に録画を見てもらうようにしています。担当者がそれを確認した後で、タスクのコメントにノートし、重要なポイントを確認できるようにします。また、担当者が顧客にメールを送り、私とのミーティングに時間を割いてくれたことへお礼を述べると同時に、ミーティング中に聞かれた質問などについての回答や情報をメッセージし、フォローアップします。

ミーティングを録画することは素晴らしいアイデアです。こうすることで私以外の人はミーティングに参加しなくてもよく、それでいて、後で録画を見ることでそのミーティングの恩恵を受けることができるのです。

複数の顧客とまとめて会うことについては?それにもいくつかのやり方があります!

個別のミーティングとは別に、大きなグループで顧客と定期的に会う方法を確立するのも良いでしょう。そのためNozbeでは、ウェビナーを再開しました8。そこでは一度に何百もの顧客と会うことができます。また、私は私のチームだけでなく顧客にも毎月vlogを公開しています9。プロダクトVPのラファウと一緒に2週間ごとにNoOffice.FMポッドキャストを定期的に公開しています10。そこでは本書で紹介しているような内容や、毎日の仕事の中から得たヒントを共有したりコメントしたりしています。これらの活動全てが、多くの人とのつながりを持つ機会を私に与えてくれます。ただ私の製品を使ってもらうだけでなく、より一歩進んだ関係性を顧客と持てるということになるのです。

旅行するときには?顧客と会う機会としよう!

私は会社の会合 (これについては次の章でお話します) や会議、または休暇で頻繁に旅行をしていました。そのような時には、しばしば旅行先でお会いできるような顧客がいないかをチェックし、コーヒーやランチを一緒にどうかと連絡を取るようにしていました。

多くの場合、そこにはもっと多くの利点が隠れています。しばしば彼らのオフィスや工場を案内してもらったり、彼らの仕事を実際に見る機会を提供してもらえます。それは本当に素晴らしいもので、バーチャルなミーティングでは決して体験できません。

今では仕事のために旅行することは少なくなりました。一つにはパンデミックの影響がありますが、もう一つには、私は家族の大黒柱であり、長い期間家族と離れた状態になるのは好ましくないという理由からです。そのため、バーチャルミーティングは顧客と会うための私にとっての一番好ましいやり方なのです!

1つのキーポイント: 顧客と会う時間をスケジュールしよう!

ぜひ積極的に顧客と会い、話をしましょう。バーチャルカフェは本当に簡単に実施することができますし、その結果、人々はあなたの時間や献身を評価してくれます。また、その過程で素晴らしい関係を築くことも可能です。現在のテクノロジーのおかけで、世界中の誰とでも気軽に会うことができます!もし、私と話したい方がいたら、ぜひお気軽に連絡をしてください!11

  1. 私自身も使っており、お勧めするのはCalendlyです。提供している無料プランでも、私が特定のミーティングに必要なものが全部揃っています: NoOffice.Link/calendly 

  2. 本書の前章でも触れましたが、私たちはZoomを使っており、皆さんにもお勧めです: NoOffice.Link/zoom 

  3. 2008年から2016年にかけて、私は生産性にフォーカスしたマガジンの編集長をしていました。こちらから過去の号をお読みいただけます: ProductiveMag.com 

  4. NozbeブログはこちらからNozbe.com/ja/blog、また私の個人的なブログはこちらからMichael.teamお読みいただけます。 

  5. インターネット上では、私はiPadをメインのコンピューティングデバイスとして使っていることで知られています。私は#iPadOnlyという本を共同執筆しており、オンラインで無料でお読みいただけます: iPadOnly.com 

  6. Zoomで「録画」ボタンを押すと、お互いに会話がレコーディングされていることが分かります。私はiPadではビデオはクラウドに記録されるように設定しています。Macでは通常コンピューターに直接記録するように設定しています。 

  7. 私は動画をVimeoにアップロードし(NoOffice.Link/vimeo)、「hide from Vimeo」に設定しています。こうすることで、動画は他の誰からも見られることがありません。また、私たちだけがアクセスできる内部のサイト nozbe.team にのみ動画を埋め込めるように制限しています。 

  8. 開催予定があるウェビナーにはこちらからいつでもお申し込みください: Nozbe.com/webinar 

  9. 私のvlogは動画やポッドキャストでご覧いただけます: Michael.team/vlog 

  10. リモートワークについての私たちのポッドキャストにぜひ登録してくださいNoOffice.FM 

  11. 私と連絡を取るための一番早い方法は、Nozbeカスタマーサポートへご連絡いただくことです(Nozbe.com/ja/contact)。誰にも言わないでくださいね!私たちだけの秘密です!:-P 

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