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第20章 - 非同期で仕事をする

同期することが過大評価されている。効率的なコミュニケーションとは、中断されることが少ないことを意味する。

チャットが少なければチームはもっと仕事ができる

「おしゃべりはやめて、もっと動こうよ こんな苛立ちじゃ俺を満足させてくれない」

  • エルビス・プレスリー (Elvis Presley) 1

あの「キング」でさえより多くのことを成し遂げるためには、おしゃべりを少なくすることが必要であるということを知っていました。13年以上オールリモートのチームを率いてきた経験の中で、私たちが編み出した一番のスキルは、非同期で仕事をすることだと思っています。

なぜ同期ではない?非同期の仕事 とは?

一人の人があることに取り組んでいる間に、もう一人の人は別のことに取り組んでいるということを意味します。相手が今どんな作業をしているかは分かっていたとしても、細かいことを知る必要はなく、リアルタイムでお互いの進捗状況を把握しているわけでもありません。

それは今この瞬間にも私がやっていることです。私は本書#NoOfficeのこの章を書いています。編集を担当するマグダは、私が次の章を書くことを知ってはいますが、私がどこまで書き進んでいるのかを正確には知りません (ヒント: 私はまだ書き始めたばかりで彼女は私がいつ書こうとしているのかさえ知りません (ヒント: 現在11pmで、彼女は恐らく私が寝ていると思っているかもしれませんが、私はちょうどインスピレーションを得たところです)。

彼女は私がこの章を書き上げるということを信じているので、私が書き終えたら彼女に知らせるだけであり、そうして彼女はレビューを開始します。この一連の活動はその後も続いていきます。彼女の仕事はこの章をレビューすることですが、彼女がいつレビューするのかを私は知る必要がありません。いつまでにそれを完了させて欲しいということを伝えれば、それだけで終わりです。私は彼女の仕事を信じていますし、彼女はうまく編集するだろうし、完了したら私に知らせてくれます。

これが非同期の仕事です。隣に座ってお互いのタスクの状況を常に更新し合っているわけではありません。それぞれがそれぞれの仕事をし、伝える必要のあることができたら、アップデートを連絡し合うのです。

チームが完全にリモートであっても、チャットや通知があるので「同期したい」と思ってしまう

第18章と同じように、ここでも信頼と言う言葉をたくさん使います。重要なのは、相手は相手の仕事をしているということを信頼できるかどうかです。そうすることではじめて、あなたは相手に仕事を行うために必要な時間と余裕を与えることができるようになるのです。

リモートで働くことの問題点は、他の人が仕事をしている姿を物理的に見ることができないことです。そのため、経験の浅いマネージャーの多くはチャットメッセージをたくさん送ったり、頻繁に状況のアップデートを要求したり、さらに悪いケースでは、実際に姿が見えるようにビデオ会議のセッションに参加させるようにして、同僚の仕事を邪魔しているのです。それは馬鹿げています。

第6章で社内コミュニケーションにメールを使わないことを書きましたが、私がチームをチャットへと移行させることを暗示していると多くの人が考えていました。私はチャットアプリ 2 には社内のチームのおしゃべりの場としての機能や、必要に応じてダイレクトメッセージを交換するための方法としてはいいとは思いますが、そこには一つの深刻な欠陥があります:

チャットは即時性の返答を期待させます

これでは人々は仕事に集中することができません。メッセージの絶え間ない流入は人々を邪魔し、人々をバーチャルな会話に参加し続けることを促し、実際に何かを成し遂げることを妨げるのです。これでは、本書の第4章でも述べたような、本当の仕事とは何か、集中とは何かということに反してしまいます。

マルチタスクは神話だあなたは一度に一つだけのことにしか取り組めないのです!

多くの人は、マルチタスクであることを優秀なこととして自慢しています。いいえ、決してそんなことはありません。多くの研究が示しているように、人は本当にはマルチタスクにはなれません3。ただタスク間を迅速に切り替えているだけであり、そして、そのスキルも過大評価されています。

一つのことに取り組んで、それが終わってから次のタスクに切り替える、という方が実際には早いことが何度も証明されています。また一つのことを最後まで完了させるので、それの方がより効率的でもあります。一度に多くのことに取り組んで、何も終わらせることができないことと比較してみてください。多くのことに取り組んでいるので忙しくしていますが、どの方向にも前進していないのです。

通知をオフにして仕事をしよう

これは忙しくて疲弊している人に私が送る最初のアドバイスです。反応的であることを止め、前向きに途切れることのない、邪魔されない時間を堅守しましょう。そうすることで、一度に一つのことに取り組むことができます。

私が毎日使っているツールのほとんどは、通知をオフにしてあります。

誰かが私にタスクを委任したり、私に直接メッセージしたり、私について言及した時にだけ、通知を受け取るようにしています。さらに、本当にタスクに集中したい時には、そのタスクを完了させるまでそれらの通知もオフにしています。私は全てのデバイスを おやすみ モードにしています。

いずれにせよ、私はそれらの通知を必要としません。なぜならば、集中するタスクが終わったら、プロジェクトマネジメントアプリやチャットアプリ、メールアプリなどを開き、何が起きているかをチェックし、必要に応じて返信するということを私がやると人々が信頼してくれているからです。私は準備ができたらそれをするだけです。彼らが求めているときではありません。さらに言えば、本当に緊急なことと言うのはどれくらいの頻度で起こるのでしょうか?(本当に必要な時には、どうやって私に連絡を取ればいいかを皆知っています)。

チームプレイヤーになり良いフィードバックをしよう

非同期で仕事をすることで、誰もがより良いフィードバックができるようになります。人々は他の人の仕事をどう思うかを十分に考えるだけの環境を必要とするため、人々に仕事をする時間と余裕を与えることが重要なのです。

何かを完了した後にすぐ誰かに電話をして「あなたはどう思う?」と聞くのではなく、その人にあなたの仕事に対して深く考える時間を十分に取ってもらうのです。こうすることで、簡単で短い 「いいですね!」 という返事の代わりに、「いいですね、でもこれこれはどうですか…」 などというより深く考えてもらったフィードバックをもらうことができるのです。

確かに、私たちは常にオンの世界に住んでおり、それはすぐに満足を得る環境を作り上げ、私たちもそれに慣れているので、同僚や上司から浅い賞賛をしてもらうといい気分になりがちです。しかし、ここで疑問なのですが、それが自分の仕事の向上につながっているでしょうか?

時間をかけてフィードバックをすることは、誰にとってもメリットがあるのです。それは信頼の文化を作ります。それは人々をより深く考えさせるよう動機付けます。より良くなろうという気にさせてくれます。また、皆のコミュニケーション能力やライティング能力を向上させてくれます。

そのため、私たちオールリモートチームでは、コメントを可能にするソフトウェアを使用しています。プロジェクトのタスクやドキュメントの段落、コードのライン、デザインの一部などにコメントを投稿するようにしています。よく考え抜かれたコメントを書くのは時間がかかりますが、良いコメントスレッドは、最終的には仕事の質を改善する貴重なリソースになるのです。

思慮深いフィードバックは会議を減らすことにつながる

フィードバックとコメントをする文化のもう一つの良いところは、会議の回数が大幅に減るということです。私はフィードバックを求めてくる人からタスクを受け取ることがよくあります。私は時間をかけて全てを分析し、彼らの仕事について気に入った点や改善の余地があると思うところを記述するために長いコメントを書きます。その後で、私のフィードバックについて確認する短いチャットが必要かどうかを彼らに聞くと、たいていは私のコメントで十分であり、チャットは必要ないという返事が返ってきます。彼らは何をすべきかを分かっているので、すぐに仕事に戻ることができます。

さらにコメントを書くことで、タスクの詳細について検討し、ニュアンスを掴み、例外などを見つけることにつながるという、素晴らしいフィードバックのループが生まれるのです。それは即席のブレインストーミングよりもはるかに効率的なのです。

良い仕事と素晴らしいフィードバックはより多くの尊敬につながる

あなたがリモートで人々と仕事をしているとき、誰かを感動させることができる状況と言うのは非常に少ないのが現状です。

従来のオフィスとは異なり、最新の服や最新のヘアースタイル、デザイナーの財布、高級なガジェットなどで誰かを驚かせたり、感動させたりすることはほとんどできません。

彼らが目にするのはあなたの仕事だけです。そして、あなたが彼らに与えるフィードバックだけなのです。

そして、素晴らしい仕事を提供してくれる人や、時間をかけて丁寧なコメントを書いてくれる人を私たちは尊敬するのです。

素晴らしい仕事があれば、そこには尊敬の念が生まれます。感動的な仕事は、感動的な人を意味します。

ところで、素晴らしい仕事をしてくれながら、あなたがもっと良くなるための手助けもしてくれるようなプロフェッショナルな人々に囲まれて仕事をするのは最高だと思いませんか?それこそが良い職場環境の正しい定義ではないでしょうか?

忍耐は期待がはっきりしていれば美徳である

非同期で仕事をしているからといって、期待をしてはいけないわけではありません。期待や希望を伝える方法を学ぶ必要があります。そしてそれは両者に対して言えます。一緒に働いている人はお互いに、相手にいつタスクを終わらせて欲しいかを知らせる必要があります。相手はそれが実現可能であれば率直にそう伝え、もし難しいのであれば、他のものを落としてそのリクエストに応える必要があるかどうかを伝えて確認する必要があります。それは両者のいい関係性から成り立ちます。そうでなければ信頼関係で成り立つはずの仕事は、迷惑なコントロールと制御の戦いに変わってしまうのです。

1つのキーポイント: 非同期で仕事をすることを学ぼう。

これはスキルです。十分な時間と余裕を持って素晴らしい仕事をし、有意義なフィードバックをするために、チームの全員がそれを習得する必要があります。このように働くことで、チーム内に信頼と尊敬の文化が生まれ、誰もが同じ船に乗って共通の目標に向かって同じ方向に漕ぎ出していると感じられるようになるのです。

コミュニケーションのピラミッドについて第10章の中でも説明しましたが、時には直接話したり、チャットをする必要がありますが、通常は同期するのではなく、集中して素晴らしい仕事を提供することに焦点を置くべきです。そうすれば、全てがうまく行くはずです。

通知への対処の仕方や、FOMO (Fear Of Missing Out 取り残されることへの恐れ)、集中して仕事をする方法、などについてさらに詳しく学びたい方は、カル・ニューポート (Cal Newport) 著、Digital Minimalism を読むことをお勧めします4

  1. エルヴィス・プレスリーの1968年の曲から: “A Little Less Conversation” 

  2. Nozbeチームで使っているSlack や、私の子供たちの学校で使っている Microsoft Teams などがあります。 

  3. 「メディアマルチタスカーにおける認知制御」に関する研究記事: NoOffice.Link/cognitive 

  4. カル・ニューポート (Cal Newport) 著“Digital Minimalism: Choosing Focused Life in a Noisy World” 

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