- ワークライフバランスとは状態のことではなく、バランスを取るための行為である
- 私の週の労働時間を変えた3つの質問
- 質問3: どうすればウィークリーレビューを定期的にしてもらえるようになるのか?
- 3つの質問と1つの答え - 金曜日は違うことをしてみよう!
- マイティフライデーは怠惰を助長していないか?
- 1つのキーポイント: 金曜日のあり方を変えて、もっと自由にしてみよう
ワークライフバランスとは状態のことではなく、バランスを取るための行為である
これまでの章で述べてきたように、#NoOffice会社の働き方は、世界の変化に応じて形を変えていくべきものです。インターネットと私たちのポケットに入っているパワフルなコンピューターがこの変化を加速させています。だからこそ、私たちは絶えず様々なやり方を実験し、それが長期的に持続可能であるかどうかを常に確かめていく必要があるのです。
ワークライフバランスをうまく取れるように率先して行動していく必要があるのです。私たちが正常な状態でいるためには、いつもと同じ ことばかりを繰り返していてはいけないのです。そうでなければ、私たちは極度の疲労で燃え尽きてしまうことでしょう。
私の週の労働時間を変えた3つの質問
様々な企業を研究したり、10年近く小さな会社を経営してきた経験に基づき、2016年に私はNozbeに新しい方針を導入しました。それを私は「TGIF - Thank Goodness It’s Friday」と名づけています1。
それは以下の3つの質問への答えでもあります:
質問1: どうすれば人はより少ない時間でより良く働くことができるだろうか?
金曜日の方針を詳しく説明していく前に、まずはこの質問について見ていきましょう。多くの研究が示しているように、働き過ぎは極度の疲労につながりやすいということがあります。では、働く時間を短くしつつ、仕事の質を上げるにはどうすればいいでしょうか?
これまで多くの企業が従来型の週40時間労働のモデルを変えようとしてきましたが、その多くが失敗に終わっているという事実があります:
- Googleは個人的なプロジェクトに20%の時間を割いていることで有名で、2004年のIPOでもそのことを言及していましたが、2012年にはこの方針は 死んだも同然 になっていました。エンジニアたちが 「チームでの仕事に100%ではなく、80%の時間しか使わないとすると、パフォーマンス評価に影響するのではないかと恐れるようになった」ためです2。
- Treehouseのインターネット起業家ライアン・カーソン (Ryan Carson) は、2015年に金曜日を完全にオフにして週32時間労働を推奨したことで有名ですが、その一年後には「私には労働観が欠けており、それが私たちのビジネスと使命にとって根本的に有害であった」として、週に65時間も働くようになりました。3
- Yahooの元CEOであるマリッサ・メイヤー (Marissa Meyer) は、Yahooで在宅勤務している人々を全てオフィスへ呼び戻したり、週に130時間も働いてワーカーホリックぶりを示したりと、全てのリモートワーカーの反例となっていました4。
これらの失敗にもかかわらず、私は依然として働く時間を減らすというアイデアに魅了されていました。しかしながら、CEOという立場で考えると、何の見返りも得ることなく自分のチームにもっと自由な時間を与えるということは好ましくありませんでした。第15章でも述べたように、私たちはすでにフレキシブルな労働時間を導入していましたが、私はそれだけでは十分ではないと感じていました。
では、どうしたらいいだろうか?どうすれば皆の仕事時間を減らしつつ、より質を上げることができるだろうか?そもそもそんなことが可能なのだろうか?
質問2: どうすれば皆が学習するのをもっとサポートできるだろうか?
私たちの会社はテクノロジー業界でしのぎを削っています。私たちのソフトウェアや使命の性質上、私たちは生産的な会社であり続けなければなりません。業界や世界は日々急速に変化しています。スピードについていくのはとてもハードです!
この業界では、前へと進んで行かずにじっと立ち止まったままでいるということは、実質上、後戻りしているのと同じことを意味します。だからこそ、私たちは個人個人の成長に特に注力しているのです。新しいことを学ぶこと。新しいことに挑戦すること。記事を読んだり、オーディオブックやポッドキャストを聞いたり、カンファレンスに参加したりすることです。仕事でやることがたくさんある中で、どのようにしてそんな時間を見つけたらいいのでしょうか?
多くの企業が 自己啓発/自己研鑽 を大切にしていると主張していますが、それらは空虚な言葉を発しているに過ぎません。そう言っているだけでは、実際にそうにはなりません。彼らは人々が そのうちに または 仕事が終わったら 学ぶだろうと勝手に想定しているだけなのです。
もしあなたが新しいことを学ぶことと、目の前の仕事を終わらせることのどちらかを、手を上げて選んでくださいと言われた時には、常に後者が選ばれることでしょう。手を下げてください。しかし、長期的に見た時、果たしてそれでいいのでしょうか?目の前の仕事をただやり続け、個人の成長を 後まわし にするというのはいいことなのでしょうか?
そうは思いません。自己啓発は定期的に行うべきものです。定期的に行う運動のように。私はトライアスロンの選手です。泳いだり、自転車に乗ったり、走ったりする時間を作る必要があります。
会社で自己啓発の時間を作るにはどうすればいいのでしょうか?社員にもっと学んでもらうにはどうすればいいでしょうか?
質問3: どうすればウィークリーレビューを定期的にしてもらえるようになるのか?
前の章で ウィークリーレビュー についての考え方と、過去一週間を振り返って次の一週間を計画することがとても重要だと説明しました。私はこの習慣を本当に大切だと考えているので、チームの全員にも定期的にこれをしてもらえるようにしたいと考えました。
しかし、最初の頃はなかなかうまく皆に浸透しませんでした。第6章でも述べましたが、私たちは社内でメールではなくタスクを通してコミュニケーションするようにしています。私がウィークリーレビューでNozbeの共有プロジェクトを見直していると、もう必要なくなったなどの理由で誰も処理せずに放置されたまま期限が過ぎてしまった古いタスクがたくさんあったことを思い出します。
次第に私は、なぜチームがウィークリーレビューをうまくやっていないのかということを理解し始めました。誰もが日々の仕事に追われていて非常に忙しく、とてもレビューを適切に行うような時間はなかったのです。しかし、私たちは生産性の高い会社であるはずです!
私には、この状況が私たちの健全性のためにも、目的のためにも、成功のためにも、よくないことだと分かっていました。
私たちには適切なウィークリーレビューをする必要があったのです。一人ひとりがです。では、一体どうやったら、皆に時間を取ってもらって、それをきちんとやってもらうことができるでしょうか?
3つの質問と1つの答え - 金曜日は違うことをしてみよう!
これを書いているのが2020年8月で、私がこの方針を導入したのは2016年の8月ですから、ちょうど4年前のことになります。今でもうまく機能しています。私たちは金曜日を違った形で実行しています。
私の会社では、これを マイティフライデー Mighty Fridays と呼んでいます。
ルール1. 日々の業務タスクは月曜から木曜だけ行う
これは週の労働時間を4日に短縮するというものではありません。1日を減らしても、その見返りに得られるものはほとんどありません。ここでの意味は、もちろんあなたは自由な1日が手に入るわけですが、それによって残りの4日がより良くなるかといったら、そうではないという意味です。それどころか、もっとストレスになってしまうかもしれません。だからこそ、多くの企業がこれまで週4日労働を試みてきましたが、失敗してきたのです。
4日間は日々の業務に取り組み、金曜日には あなた自身に 取り組みましょう。
ルール2. 金曜日には必ずあなた自身のウィークリーレビューを行う
これこそが肝心のアイデアです。金曜日を素晴らしいウィークリーレビューでスタートさせるのです。前の章で説明したステップに従うだけです。あなたが抱えているもの全てに目を通しレビューしてください。
ウィークリーレビューをする前に他のことをしないようにしてください。これこそが、あなたが金曜日にやるべき最も重要なことなのです。
こうして一週間のレビューを終え、次の週のプランも完了できるのです。そして月曜日が来ても、あなたは何をすればいいのか正確に把握しているようになります。次の月曜日も明瞭な状態で迎えられるので、月曜日がワクワクすることでしょう。毎週月曜日には すぐに全力で仕事に取り掛かる ことができるでしょう。
ルール3. レビューの後は新しいことを学ぶ金曜日にする
レビューが終わったら、自分自身に投資する時間となります。以下にいくつかのアイデアを載せておきます:
- オンライン会議に登録して参加する
- これまで勉強したくても時間がなくてできなかったコースをやってみる
- 後で読むリストに週を通して溜めておいた記事を読む
- 業界ニュースをキャッチアップする
- ホームオフィスの改良をする。家具を増やしたり、配置換えをしてみる
- パソコンのクリーンアップをする。ハードドライブやファイルを整理する。紙の書類の整理をする
- 仕事に関係するソフトウェアの最新機能などについて勉強する。仕事につながるような新しいワザを取得したり、ビデオチュートリアルを見たり、新しいキーボードショートカットなどを覚える
- 新しい言語を学ぶ、または言語スキルを向上させる。英語、スペイン語、フランス語、またはプログラミング言語など
- 仕事には役に立たないかもしれないが、喜びや好奇心を掻き立てるような新しい趣味を始める
- 同僚と何でも好きなことについて話し、交流を深める
どのように金曜日を使えば、自分自身をもっと良いバージョンにすることができるだろうかと考えてみてください。私たちの会社では、チームメンバーそれぞれが金曜日を独自にデザインしています。CEOであり創設者でもある私は、社員が金曜日に何をすべきで、何をすべきでないかということについて何も口を挟みません。あなたのウィークリーレビューが終わったら、後は完全にあなた次第なのです。
マイティフライデーは怠惰を助長していないか?
会社によっては カジュアルフライデー と称して、金曜日にジーンズをはいて仕事をするのを良しとするところもあります。マイティフライデーはそれよりも優れています。
はい、私はビジネスオーナーであり、そんな私が社員に仕事の時間を減らすように求めています。それは逆効果か、またはクレイジーなように聞こえるかもしれませんが、実はいい線を行っていると思います。私たちは過去4年間、これを実践してきましたが、大きな成果を上げています。毎週金曜日になると、プロジェクトやタスクがすっきりと整理されるようになりました。適切にウィークリーレビューをしていない人がいると他の人がすぐに分かるので、お互いにモチベーションを高め合うことができます。
私たちの課題は、誰かが仕事をサボってしまうのではないかという心配ではなく、金曜日に日々の業務の仕事をしてしまうのではないかということでした。その課題を解決するため、そして、週の最終労働日を最大限に活用するために役立つであろうことを、以下にいくつか提案しておきます。
マイティフライデーを効果的に行うためのヒント
何年にもわたり マイティフライデー を行ってきた結果、私たちが見つけたヒントを以下に挙げます:
- 自分のレビューが終わったら、グループチャットルームでそのことを報告する。他の人のやる気につながります!
- 金曜日にやることのアイデアをシェアする。何を学んで、何を見て、何を読むか・・・特に親しい同僚とシェアするとやりがいも上がります。一緒にやってみるのもいいかもしれません。
- 新しいスキル、新しい言語、新しい趣味を学ぶための明確な目標を立てる。毎週金曜日がワクワクすることでしょう!
- 景色を変えてみる。お気に入りのカフェなど普段と違う場所で仕事をしてみるのもいいかもしれません。
- 他の会社の同僚と近況報告の電話をしたり、ビデオチャットしてみる。私は毎週金曜日の午後3時に マスターマインド グループのミーティングを行っています。私にとってそれは一週間の締めくくりに最適です。
1つのキーポイント: 金曜日のあり方を変えて、もっと自由にしてみよう
マイティフライデー を導入してあなたの周りの人にウィークリーレビューをするよう奨励し、個人の自己啓発を促しましょう。これらが毎週毎週積み重なることで、チームとしての実行力のレベルも大幅に向上するのです。これを適切に導入すれば、高度に集中した4日間でも、これまであなたがやってきた週5日の労働時間よりもはるかに多くのことを達成できるようになるということを私は保証します。また、プラスアルファとして、仕事にもっと喜びを得ることができるのです。プラスアルファが嫌いな人はいないはずです。
-
2016年8月に No Office ブログ でこのことを発表し、その後 Nozbe ブログの中で8週間経過して私たちが学んだこと として記事をポストし、Podcastのエピソード#70 でも議論しています。 ↩
-
HR Zone掲載の記事です: Why did Google abandon 20% time for innovation? ↩
-
世界経済フォーラム: These companies all experimented with a 4-day week. Here’s what happened. ↩
-
Bloomberg: Yahoo’s Marissa Mayer on Selling a Company While Trying to Turn It Around ↩