- 近くに住んでいる人ではうまくいかないかもしれない!
- 遠くから人を雇うのはリスクが高くはないのか?
- 世界中のどこからでも、最適な人材を獲得するには
- リモート採用を成功させるために - 実践的なヒント
- 良い候補者を集めるには
- 1つのキーポイント: 仕事に最適な人材を選ぶこと。
近くに住んでいる人ではうまくいかないかもしれない!
伝統的な企業の多くは、オフィスからの地理的な近さに基づいて人を採用します。採用についての最終決定がオフィスビルによって決められるなんてばかげているように聞こえます。ビルが決定しているのです。もちろん文字通りではないと思いますが、オフィスが遠すぎると候補者は応募しないでしょうし、採用者もその人を検討から外すことも多いでしょう。能力よりも地理の方がより重要なのでしょうか?
地球上で最も賢いと思われているで人さえこのように考えているのです。私はNozbeがまだ初期の頃、シリコンバレーのベンチャーキャピタルからの資金の申し出を検討していたことを思い出します。しかし、彼らがNozbeの本拠地を彼らが住んでいるところに移転させることを望んでいると知って、私はすぐに辞退しました。彼らのオフィスから半径20マイル以内の場所ということでした。投資をする対象であるNozbe製品について話すよりも前に、彼らはまず、私に引っ越す気があるのかどうかについて確認してきたのです。
そのような決定を下すことは、私と私のチームにとっては非常に複雑な問題であり、多くの費用と管理上の頭痛の種になり、製品の開発には何の貢献もないということは全く重要ではないかのようでした。地理的なことが重要だったのです。そこで私は諦め、結局VCからの投資は受けず、顧客からの支払いから資金を得て会社を維持することにしました。
「No Office」という考え方の利点は、あなたが必要とする仕事のために最適な人材を得るチャンスがあるという点です。それらの人材があなたより離れた場所に住んでいたとしても、チームに完璧にフィットし、あなたが必要としている仕事を提供してくれるのです。そのため、地理的な条件にとらわれず、視野を広げてください。世界中のどこからでも採用するようにしてください。
遠くから人を雇うのはリスクが高くはないのか?
人を雇うと言うのは、リスクが付きものです。多くの企業が遠方から人を雇うことに心理的な問題を抱えていますが、一方で、そのような遠方の請負業者を雇うことには何の問題も抱えていません。多くの企業が会計士やHRコンサルタント、弁護士などのサービスを定期的に利用しています。多くの場合、それらの外部の請負業者はそれらを雇った会社の近くには位置していません。街の反対側に位置していたり、他の街にオフィスがあることもしばしばです。
私が言いたいことは、ほとんどの中小企業はすでにリモートで雇用したことがあるのですが、彼らがこのことを認識していないと言うことです。そのため、地理的な条件にとらわれずにもっと外に目を向け、膨大な才能ある人材のプールへともう一歩踏み出してみましょう。
世界中のどこからでも、最適な人材を獲得するには
HRでよく言われている格言があります:採用はゆっくり、解雇は即座に。この言葉にはいくつかの真実があります。人を採用する時にはじっくりと時間をかけて採用すべきです。それが特にリモートであればなおさらです。何年にもわたり、これまで何度も採用プロセスを繰り返して来ましたが、Nozbeでは以下のようなやり方を取るようにしており、そしてうまく行っています:
ステップ1素晴らしい募集要項/職務記述書
募集要項/職務記述書は、優れた人材を採用するためのカギとなります。基本的にはセールスレターのようなものです - あなたは完璧にマッチする候補者へ仕事を売り込むのです1。以下の3つの重要な要素が含まれている必要があります:
- 職場環境についての説明。 なぜその会社のために働かなければならないのか?について、**なぜ?への答えです。私たちはオールリモートの会社であること、働き方、社員への手当、チーム規模、候補者に求めること、私たちの信念などを簡単に説明します。当社のことを知らない人でも、ここが自分の働く場所となるべきかどうかをすぐに判断できるようにする、ということがここでの目標です。
- ポジションの説明。 ここではその仕事に必要な最低限のスキルをリストアップします。また、あると良いものリストでそれを拡張しています。その仕事がいかに私たちにとって意味のあるものなのかを後でより深く説明します。もし採用されたら、その人が実際に何に取り組むのかということも説明します。ここでのカギは、候補者に私たちが何を求めているかを伝えるだけでなく、なぜそれが必要とされているのか、なぜそれが重要なのかを理解してもらえるようにすることです。そして、どのくらいの報酬が得られるのかも伝えます。
- 募集の概要と次のステップ。 ここではどのように応募したらいいのか、その後の流れがどのようになるのかを説明します。候補者とチーム両者にとって正しく期待値を設定することが重要です。
ステップ2CVとカバーレター。
優秀な候補者を確保するために、最新のCV (履歴書) をメールで送ってもらいます。その際にメールの本文に、なぜその人がポジションに最適なのかについての簡単なメッセージを添えてもらいます。公式のカバーレターは必要ありませんが、個性的なメールのメッセージは歓迎です。
ここで多くの候補者がポイントを失います。多くの人は次のような短いメールのメッセージだけです: 「私のCVを添付します。よろしくお願いいたします。」。これだけです。
そのような人は、それはすでにストライク1だとは理解していません。5分だけでも会社のサイトに目を通して会社について知り、そして、なぜ他の誰でもなくその人を採用すべきなのかについて説明できたはずです。しかし、多くの人はそれをしません。彼らはそのようなメールは誰かによって必ず読まれ、また、判断されるということを理解していないのです。ここは、潜在的に自分を目立たせる場所でもあるのです。
ステップ3オンラインフォームによる書面での面接。
CVを付けて送られてきたメールに対し、私たちはすぐにお礼のメールを返信し、オンラインフォームに必要事項を記入してもらうようにお願いします2。
オンラインフォームは、候補者と実際に話す前にすでにインタビューの機会を与えてくれるのでとても重要です。具体的な質問をし、その候補者について多くのことを教えてくれるような良い回答が得られることを期待しています。
ここでは全てが記述式で行われるため、その人の見た目や声は分かりません。これにより、仕事に直接関係のない、見た目などによる偏見を排除することができます。そのため、フォームの中の質問は極めて重要です。回答からその人についての最初の印象を得ることができるからです。
応募書類の最終受付日を各候補者に伝え、CV、カバーレター、フォームの記入が全部完了した段階で、応募書類の審査を開始します。こうして、早く応募することが重要ではないということを伝えます。応募書類の質こそが重要であるため、時間をかけて作成し、ライティングによる第一印象を良くしましょう。
ステップ4チームとの最初の面接。
これら全ての応募書類プロセスを経た上で、全ての候補者の中からできるだけ多くの応募者を排除し、上位5名の候補者を選びます。ポジションによっては、本当にたくさんの応募があります。
この段階ではまだその人を直接見ていないので、できる限り全てを判断します。カバーレターの有無。メールの返信の早さや文章の書き方。職種に限らず、リモートで仕事をする場合には、文章力がカギとなります。本書の以前の章で説明したように、私たちはお互いにたくさん書いてやり取りします。タスクで、コメントで、ミーティング前のドキュメントで、チャットで… いろんな場面でたくさん書きます。そのため、私たちは最高のライターを選びます。
トップ5を選んだ後は、将来のチームリーダーが面接をスケジュールします。通常、面接には2人の人が参加します。チームリーダーとその候補者と一緒に仕事をする可能性のある先輩です。こうすることで、2つの異なる視点から候補者を見ることができます。
これらから分かるように、このようなプロセスはとても骨の折れるものです。毎回チームから2人の人間が5回の面接を行うだけで、少なくとも10人分がこの作業に費やされることになります。そのため、それらの面接は十分に準備され、有意義なものとならなければなりません。
オンラインフォームで十分に考えられた質問をするのと同じように、ビデオ面接のためにも別の質問のリストを作成し、会話の一つ一つが可能な限り客観的で目的を持ったものであるようにします。また、ビデオ面接には厳しい時間制限を設けるべきです。私たちは通常、1時間に設定しています。
ステップ5テストプロジェクト
面接が終わった後、チームは候補者を少なくとも2人に絞り、彼らに仕事をやってもらいます。
何年もリモート採用をしているうちに気づいたことは、仕事の話をするのもいいけれども、実際に仕事をしてもらって、その様子を見ることの方がはるかに良いということに気付きました。タスクをやってもらうことで、その人が実際にどのように仕事をするのかを知ることのできる良い機会を与えてくれます。彼らが実際に何を知っているのか、どんなスキルを持っているのか。どのように私たちとコミュニケーションを取るのか、といったことを知ることができます。
私たちは人々の時間を尊重し、タダで働いてもらうことは求めていないので、このテストプロジェクトは報酬の発生する仕事です。また、候補者たちはたいていどこかでフルタイムとして働いていることが多いので、その仕事を終えた後2~3時間程度の時間を使ってもらい、数日のスパンでできるプロジェクトを行ってもらいます。テストプロジェクトでは、大抵は実用的なものを選びます。私たちも報酬を支払うので、将来的に使わせてもらうかもしれません。
テストプロジェクトの期間中は、チームリーダーが彼らの進捗状況をモニタリングし、随時質問に答え、チャットやメールで連絡を取り合います。
ステップ6内定者と上司との面接。
テストプロジェクトの後で、チームは誰を採用したいかを決めます。チームは勝者を選び、私たちのサラリー数式 (第13章で説明しています) に基づいてジョブオファーを出します。候補者がオファーを受け入れたら、2回目のビデオ面接を行います。今回はCEO (私です!) と採用プロセスを担当している人とのビデオ面接です。通常は、私のアシスタントであり、この本の共著者であるマグダです。
このビデオ面接の目的は、候補者の人柄をチェックし、彼らに私たちの会社で働くことにワクワクしてもらうことです。通常これは形式的なもので、特に私(CEO) にとって、どんな人を採用するのかを把握するためのものでもあります。特に私としては、実際に一緒に仕事を始める前にその人のことをもう少し深く知り、その人の夢や希望などを共有し、本当に私たちと一緒に働くことを楽しみにしているのかどうかを確認したいのです。
ステップ7チームの誰かとの直接的なミーティング。
何も赤信号がなく、採用プロセスがスムーズに進んだ場合には、リモートチームの中から候補者に最も近くに住んでいて、候補者と直接会いに行ってくれる人を探します。通常は、会社の負担でランチやコーヒーを一緒にとることになりますが、そこでは正式にIDなどをチェックして本人であることを確認します。これが採用プロセスの最終ステップであり、この候補者が完全に変人じゃない限りは、彼は新しい仕事を得ることができます!
ステップ83ヶ月間の試用期間でのオンボーディングプロセス。
さて、候補者を採用し、彼らが仕事をスタートさせたら、オンボーディングプロセスが始まります。会社では、新入社員が最初に行うべきタスクや、ビデオやスクリーンキャストなどへのリンクが掲載されたオンボーディングの資料を準備してあります。ここで重要なのは、プロセスの早い段階から彼らに軽い仕事を与えることです。そうすることで、アカウントやアクセスポイントを設定したり、会社について学んだり、説明ビデオを見たりしながら、バランスよく仕事を進めていくことができます。
最初の一週間は毎日チームリーダーが新入社員と数分間ビデオミーティングを行い、質問や気がかりなことなどに答え、フォローアップやサポートを行います。また、新入社員にはCliftonStrenghts3 テストを行ってもらい、彼らのスキルや才能がどの程度チームにフィットしているかを確認してもらいます。
全ての新入社員には、通常3ヶ月の試用期間を設けています。試用期間の12週間、実際に仕事をしてもらい、その人が本当に私たちに合っているかどうかを見極めるのです。試用期間中には適宜フィードバックを行い、段階的により複雑なタスクに挑戦してもらい、その成果を確認して行きます。通常10週間後にその人の仕事を評価し、その人が私たちと一緒にいるべきなのか、そうでないのかを判断します。
ステップ9次の9ヶ月間はフル特典で。
その人が完全に会社の一員になった際には、次の9ヶ月の契約を交わします。そうしてその人材が本当に適しているのかどうか、より長い期間でテストします。その人は完全にチームの一員として扱われるので、会社が提供する全ての特典を受けることができます (第14章で説明しています)。
ステップ10幸せな生活を送る。
全てがうまく行った場合には、9ヵ月後に無期限の契約を結び、そうして全員が幸せな生活を送ります。
リモート採用を成功させるために - 実践的なヒント
採用プロセスは長くて複雑です。たくさんの人が関わり、たくさんの応募者がいて、関連する様々な必要事項があります。
そのため、私たちはNozbe Teamsでポジションごとに個別の採用プロセスのプロジェクトを設定しています。もちろん候補者の個人情報に配慮し、このプロジェクトに招待する人を限定しています。通常は会社のリーダーや、その仕事に本当に関わる必要のある人々です。CVがメールで候補者から送られてくると、メールをそのプロジェクトへ転送し、自動的にタスクにしています。こうすることで、候補者ごとに個別のタスクを作成することができます。プロジェクトには採用プロセスの10ステップごとにセクションがあり、全てをうまく管理できるようになっています。
候補者ごとに一つのタスクを設定することで、特定の候補者に関する全ての情報を一つの場所で把握することができます。彼らのCVはタスクの最初のコメントとして添付します。その後のコメントでは、その候補者について意見を交換したり議論したりすることができます。面接を行う際には、適切な期日や時間を追加することができます。
チームの共有プロジェクトやタスクのためのアプリとして私たちはNozbe Teamsを使っていますが、他のアプリを使って管理しても構いません。重要なことは、この採用プロセスをデジタル化して整理でき、関係者がどのデバイスからでもそれらの情報にアクセスできることです。
候補者がすでにステップ5に進んでいて、有料テストプロジェクトを行っている時には、候補者とチームの間にチャットチャンネルを設定し、進捗状況を迅速に連絡できるようにしています4。
良い候補者を集めるには
これだけ多くの場所で探す機会があるとは言え、良い候補者を見つけるのは難しいものです。数多くの求人があり、中にはリモートのみの求人に力を入れているところもあります。ソーシャルメディア、特にLinkedInは仕事探しに特化しています。Facebookにも業界やセクターのグループがあり、その中には企業が求人を掲載するのを歓迎しているところもあります。
それ以外にも、あなたのリアルな友達やソーシャルメディアの友達の中から候補者を探すことを忘れないでください。すでにあなたやあなたの会社をフォローしている人の中から探すのもいいと思います。そういう人はすでにあなたや会社のことを良く知っており、一緒に働くことへのモチベーションが高いからです。私たちは会社のブログに求人を掲載するようにしています。
また、現在募集ポストがなくても、ホームページなどに常設のキャリアページを持つことは素晴らしいことです5。そうすることで人々があなたの会社やチームについて知ることができるからです。優秀な人が様々な理由で他の仕事を探している時に、あなたのページに出会い、連絡をしてくることもあるかもしれません。
1つのキーポイント: 仕事に最適な人材を選ぶこと。
“No Office” の会社は、良い人材を雇うためにオフィスの半径20マイル以内に限るということは全くありません。世界中のどこからでも素晴らしい優秀な人材を雇うことができるのです。才能のある人はたくさんいます。地理的なことに捕われて一定の地域にいる優秀な人を探すのではなく、場所に捕われずに本当にその仕事に適した人を雇うという時が来ているのです。
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募集要項/職務記述書の例です。Basecampのもの: NoOffice.link/basecamphires と、Nozbeのもの: NoOffice.link/nozbehires です。 ↩
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私たちはGoogle Formsを使っています: NoOffice.link/forms ↩
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Gallup CliftonStrenghtsテストについて、詳しくはこちらをご覧ください: NoOffice.Link/strenghts ↩
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社内ではチャット用のプログラムとしてSlackを使っています: NoOffice.Link/slack ↩
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私たちのサイトの例です: NoOffice.Link/careers ↩