- 会議はとても簡単で、役に立ち、魅力的・・・
- 会議を効果的に行うための3つのルール
- 会議は定期的に
- 会議は任意に
- 会議は準備を十分に
- 「ブレインストーミング・セッション」については?
- 「進捗報告」については?「交流の時間」に変える!
- 会議には何人参加すればいい?最低限必要な数だけ!
- 忘れずに: 会議の後にもしっかりと書き出しておこう!
- 1つのキーポイント: 会議は定期的に、任意に、そして準備は十分に
会議はとても簡単で、役に立ち、魅力的・・・
COVID-19のパンデミックの影響を受けた企業の多くが直面した問題の一つは、会議のやり方についてでした。ビデオ会議ソフトウェアにアクセスがあれば、あとはオフィスでやっていたのと同じように再現できると多くの人は考えていました。以前と同じように会議をスケジュールし、組織し、開催するだけであると。
そうですね、それは一見簡単であるように見えます。実際、皆がオフィスにいればとても簡単に会議ができてしまいます。皆が出席していて、皆のカレンダーには空きがある、それでは会議を入れてしまおう、そんな感じですよね?
そのように、会議は以下のような 「メリット」 に利用されているようです:
- 会議の参加者としてあなたは、会議から会議へと移っていくことで、自分がどれだけ忙しいかを周りにアピールすることができます。素晴らしいアイデアを披露し、マネージャーを褒めておだてて、それから、携帯をいじってソーシャルメディアをチェックする時間にすることもできます。
- 会議の主催者としてあなたは、グループに責任を転嫁し、間違った決定をしても一人で責任を取らなくてもいいと言う、またとない機会を得ることができます。何を決めたらいいか分からない時は?とりあえず会議を開けばいいではないか、という風に。
- 会議はチームの問題への解決策です。アイデアがない?方向性がない?戦略がない?ブレインストーミングのセッションを開催しましょう!それはチーム精神のためにもとてもいいことですよね?
それから、必ず全員を招待するように。誰かを招待し忘れると、その人は気分を害してしまうので!結局のところ、会議に出席する人数は多ければ多いほどいいので誰でも歓迎です。などなど。
もうこの辺で止めましょう。
こんなことは本当に終わりにしなければなりません。会議には、これまでとは違うアプローチで臨むべきなのです。
会議を効果的に行うための3つのルール
これまでの長年の経験を基に、私たちは会議を効果的に運営するためのルールを作りました:
- 会議は定期的に。
- 会議は任意に。
- 会議は準備を十分に。
これからこの3つのルールについて説明していきます:
会議は定期的に
基本のルールとして、私たちは即興で行う会議はしないようにしています。その代わりに、毎週定期的に会議を行うようにしていて、例としては以下のものがあります:
- デベロッパーのミーティング : 月曜午前10時から1時間まで
- 部長のミーティング : 月曜午後2時から1-1.5時間まで
- サポートチームのミーティング : 火曜午前9時から1-1.5時間まで
- デザインチームのミーティング : 火曜日午後2時から2時間まで
- マーケティングチームのミーティング : 水曜正午から1-1.5時間まで
- ロードマップミーティング : 火曜午後3時から1時間まで
それぞれの会議が明確に定義されているということがいい点です。会社のカレンダーにスケジュールされ、社内の全員が次のことを共通して認識しています:
- ミーティングはいつ行われるのか
- テーマは何か
- 議長と書記は誰か
- 場所はどこか (私たちは各ミーティング専用のバーチャルルームを用意しています1)
さらに、全ての会議には時間に制約があり、2時間を超えないようにしています。全てを議論し切れなかった場合には、残りの議題を次の週の会議に移します。
会議の開催については日時の調整も出欠確認もありません。会議のルールについては皆ですでに一度合意しているので、そこから変更はありません。
会議のパターンを誰もが予測できるようにしておくことで、各自が自分の一週間をうまく計画し、集中する時間 (第4章でも取り上げました) や各会議に準備する時間 (これから詳しく説明します) を十分に確保することにつながります。
さて、これらの会議は「石に刻まれている」ように毎週決まったものとして変更できないのですが・・・
会議は任意に
そうなのです。会議は完全に任意であるべきです。もし議論するトピックがなかったり、業務がとても忙しくて、その上で会議の内容がとくに重要でない場合には、私たちは会議をキャンセルします。また、もし誰かが会議に参加することができない場合でも、その旨を伝えて、出席しなければいいだけで、欠席しても誰も文句は言いません。
会議をキャンセルした場合には、他の時間に再スケジュールすることは基本的にしていません。今週の会議をキャンセルしたら、来週の同じ時間に集まるだけです。それだけです。全てをクリアーで分かりやすくしています。
会議は準備を十分に
これが重要なキーになります。会議にアジェンダがなければ、開催する理由は全くありません。
さらに言うと、ただアジェンダがあるだけでは十分ではありません。
アジェンダには各トピックスを書き出しておかなければなりません。もしトピックスが書き出されていなければ、忙しくて書く時間がなかったというような場合でも、書き出されていないトピックについては、通常話し合いは行いません。各トピックスには常に責任者を設けています。
会議はプレゼンテーションの場ではありません。
会議でアイデアを発表してもほとんど意味はありません。そのアイデアをアジェンダに追加して資料や説明を付け、会議の前に皆に読んでもらうという方がより効果的です。
会議の参加者が事前にトピックについて読み込んでいれば、実際に会議が始まってからトピックについて最初から説明するという無駄な時間を省くことができ、より内容に踏み込んで、ポイントやニュアンス、抜けている部分などに焦点を当てていくことができます。
これがうまく行くためには・・・
各自が宿題をやらなければなりません。会議の参加者は、事前に用意された会議の資料を読み込み、よくよく消化しておかなければなりません。
かの有名なジェフ・ベゾス (Jeff Bezos) も会議の前には同じようなことをしています2。彼らは会議を始める前に、完全に沈黙してドキュメントを読み、皆がそれを読み終えてから、初めてトピックスの議論に入るのです。
これは素晴らしい第一歩ですが、私たちはさらに次のレベルへと行きましょう。個人的に私は意見をまとめるのに長い時間が必要なので、会議の始まる数時間前にはドキュメントを読み始め、熟考できる時間を取るようにしています。
書き留めておくことの重要性については第5章でもお話しましたが、私たちは共同でドキュメントを作成できるアプリを使い、書かれた文章の各段落にコメントを付けるようにしています。このように、実際の会議が始まる数時間前から「会議の前の会議」をしてコメントを交換し合っているということがよくあります。これにより、リアルタイムの会議は非常に効率的になります。コメントのやりとりで要点についてはすでに軽く議論できているので、バーチャルルームの会議が始まったらすぐに肝心の部分にフォーカスできるのです。
当然のことですが、これがうまくスムーズに行くためには、事前にしっかりとドキュメントが準備されていなければなりません。私たちの経験則で言うと、トピックスとその資料は会議の前日の夜までには書きあがっている必要があるでしょう。
「ブレインストーミング・セッション」については?
厄介なものとして避けるようにしてください。その場で急に素晴らしいアイデアがポンポンと思いつくほどあなたやチームが優れているわけではありません。通常、頭に浮かぶ最初のアイデアというものは取るに足らないものです。良いアイデアというものには、熟考の時間や研究、集中力などが必要です。
私たちも時々「ブレインストーミング・セッション」のミーティングをしますが、時間を大体15分ほどに制限し、飛び交ったアイデアを全て書き出したら、誰か1人を指名し、それらのアイデアを一度精査して次の週次ミーティングのアジェンダとして準備してもらいます。
「進捗報告」については?「交流の時間」に変える!
私たちは進捗報告のミーティングというものは行っていません。なぜやる必要があるのでしょうか。第6章でメールを止めることについて説明したように、私たちはプロジェクトやタスクでコミュニケーションを取っているので、プロジェクトやタスクの進捗状況を知りたい時には、システムをチェックするだけです。口頭で状況を報告する必要は全くありません。
しかしながら、私たちは完全にリモートの会社なので、誰かが孤独感を感じることのないようにするということも大切です。というのも、オフィスに行かなかったり、チームメンバーに直接会わなかったりするので、孤独を感じてしまうこともあるのです。そのためにも、定期的にデベロッパーミーティングや部長ミーティング、サポートチームのミーティング、マーケティングチームのミーティングなどを設けています。これらの会議を行うことで、顔を合わせて挨拶したり、今週取り組んでいることを共有したりしながら、チームメンバーとのつながりを再確認することができます。
これらの会議の中では、お互いの状況を話し合う「交流の時間」と、トピックを話し合う「アジェンダ」の部分を使い分けています。もし議論するトピックがそれほど多くない場合には、お互いの時間を尊重し、会議を短くしたりすることもあります。このため、すでに述べましたが、私たちは会議に時間の「上限」を設定しているのです。もし予定よりも早く議論が終わったのであれば、会議をそこで終了し、仕事に戻ります。
2時間以上の会議をするというのは避けるようにしています。2時間というのは魔法のラインです。それ以上になると、疲れすぎて有益なことは何も話し合えません。ここでも会議を毎週定期的に行うことの良い点が出てきます。議論に2時間を越えるほどたくさんのトピックは1週間のうちにはめったに集まらないということです。さらに言えば、たとえトピックが多かったとしても、次の週に回して話し合えばいいだけです。だからストレスはありません。
会議には何人参加すればいい?最低限必要な数だけ!
私たちは会議に参加する人数が多くなりすぎないように気をつけています。通常であれば、6人を超えると混雑してしまいます。会議に参加しない人がいても、誰も嫌な思いをしないように心がけています。それは、私たちはお互いの時間をとても大切にしているからです。
スティーブ・ジョブズ (Steve Jobs)3 は会議が始まる前に、会議室を見渡して、会議に参加している人が多すぎないかチェックしていたそうです。彼はそこにいる理由のない人をしばしば出て行かせたことがあるそうです。それは過激なやり方だと思いますが、私は完全に気持ちを理解できます。
私たちも各会議には最も優れた洞察力を発揮してくれる人たちに出席してもらうようにしていますが、時にはチームの重要な人が会議に参加できないこともあります。彼らが会議よりももっと良い時間の使い方をしてくれているのであれば仕方がありません。お互いに効率的に時間を使えるよう尊重し合っているのです。
例えば、私たちのCTOは火曜日のデザインチームのミーティングには参加しません。そうであっても、彼はミーティングに貢献しているのです。彼はアジェンダと資料を事前に読み、ミーティングの前には必ずフィードバックをコメントしてくれているのです。フィードバックをするという作業は、チームの他のメンバーも同じです。
繰り返しになりますが、アジェンダと資料を会議の前に公開することがとても重要です。そうすれば、後で会議に参加できなかったとしても、チームの誰もがコメントで会議に貢献できるのです。
忘れずに: 会議の後にもしっかりと書き出しておこう!
会議の後には、参加した一人を指名して、会議のタスクに「議事録」をコメントとしてポストしてもらうようにしています。こうすることで、チーム全体が会議の内容や同意したことなどについて読んで理解することができます。
会議で話し合われた内容に関連するタスクも必ず更新するようにしているので、会議が終わったらすぐに、アップデートされ実行可能なアイテムに取り組むことができます。
またまた第5章の繰り返しになりますが、書き出しておくことが重要です!特に:
会議前にアジェンダの説明を書き出し、会議後にも結論を書き出しておきます。こうすることで会議に参加できなかった人でも会議で起きた内容を知ることができ、チーム全員が関与して仕事を進めていくことができるのです。
1つのキーポイント: 会議は定期的に、任意に、そして準備は十分に
会議のルールとしては、即席で開催することは避け、決まった日時で定期的に開催し、どんなに長くても2時間を越えないようにし、参加者を必要最小限にし、事前にしっかりとアジェンダと資料を準備し、そして、会議が終わった後もしっかりと結論を書き出しておくようにしましょう。そうすることで、チームメンバーが自分で主導権を握ってそれぞれの日々のスケジュールをコントロールでき、そして、集中する時間をより長く確保できることにつながるのです。
効果的に会議を行うことに関してより詳しく学びたい方は、アル・ピッタンパリ (Al Pittampali) 著「Read This Before Our Next Meeting」を読むことをお勧めします4。
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私たちはZoom アプリを使って、各会議にバーチャルルームIDを設定しています。カレンダーのリンクをクリックするとルームへ行けるようになっています。とても簡単です。 ↩
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ジェフ・ベゾス (Jeff Bezos) の会議の効果的な運営方法は非常に参考になります。Incの記事から彼のやり方について学べます。 ↩
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ケン・セガル (Ken Segall) の著書Insanely Simple: The Obsession That Drives Apple’s Success にそのようなシーンが登場します。 ↩
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アル・ピッタンパリ (Al Pittampali) 著: Read this before our next meeting ↩