- オフィスを人がたむろするような場所にしてはいけない
- 特典は人がより良く働けるようにすることにフォーカスすべきである
- 特典は 仕事以外での人生 を豊かにすることにフォーカスすべきである!
- 物を完全にタダで配るのは止めよう!
- 特典で人々の行動の変化を促し、良い習慣につなげる
- 仕事以外で取り組んでいることを皆でシェアしよう
- 会社の利益からチャリティに寄付しよう!
- 1つのキーポイント: 社会のためになるような特典を選ぼう!
オフィスを人がたむろするような場所にしてはいけない
私も身を置いているITやインターネットのスタートアップの業界では特に、かっこいいオフィスを自慢できるというのが流行です。デザインの細部へのこだわり、自動販売機、テーブルフットボール、リラックスルーム、フィットネススペース、ゲームコーナー・・・などなど。これらは全て、オフィスにいることは快適で素晴らしいものだと会社の人々に感じてもらうためです。
しかし、オフィスは仕事をするためであって、遊んだりくつろいだりするための場所ではありません。
マウンテンビューにある有名なGoogleのオフィス Googleplex を初めて訪れた時のことを思い出します。私は彼らが 無料で 得られるものに衝撃を受けました。スポーツ施設、自動販売機、マッサージアームチェア、ランドリーサービス・・・などなど。Google社員を家に帰りたくないと思わせるようなものが全て揃っていました。しかし、彼らのオフィススペースは物が多くごみごみとしていて、気が散るのを助長してしまうようなレイアウトの オープンオフィス でした。
世界で一番頭のいい人たちが働いているはずのGoogleが、なぜそれほどまでにぜいたくに様々な特典を無料で与えている一方で、仕事場には適切にお金を投資できていないのかということが私には理解できませんでした。
特典は人がより良く働けるようにすることにフォーカスすべきである
あなたが社員に投資し、本当の意味での特典を与えたいのであれば、大きな机やお互いの間のスペース、理想的にはプライベートオフィス、快適なアームチェア、スタンドアップデスク、2台3台の追加モニター、人工工学に基づいたキーボード、大きなホワイトボード、音響的に優れた会議室などを供給しましょう。
これらのことが人々をもっと働きやすくするのです。
特典は 仕事以外での人生 を豊かにすることにフォーカスすべきである!
人々をオフィスに留めておくのではなく、逆にオフィスから抜け出すのを手伝ってあげてください。自分の仕事が終わったら、趣味に没頭する、家族と過ごす、ゆっくり休む、などと自由に自分の時間を使うのです。
本書の第2部で掘り下げてお話しますが、完全リモートのチームのリーダーとして私が直面する問題の一つに、人々は働きすぎだということがあります!
そうなのです。在宅勤務をしている人の最大の悩みは、ワークライフバランスなのです。だからこそ、真の #NoOffice 会社として、社員の仕事以外の生活をサポートすることに私は力を入れているのです。そうしなければ、社員は仕事のしすぎで燃え尽きてしまい、また別の問題を抱えてしまうことになるでしょう。
物を完全にタダで配るのは止めよう!
人はタダで物をもらうと、それをそれほど感謝したり評価したりしなくなるということを私は経験から学びました。そのため、私たちは補助するという形を取っています。状況にもよりますが、通常は会社が特典として、物品の代金の約50%と税金の100%をカバーしています。以下のような例があります:
- 新しいパソコンが必要ですか?あなたの欲しいものを選んだら、会社が半分払い、あなたが残りの半分を払います。
- 新しい机が必要ですか?新しいアームチェアが必要ですか?もう一つモニターが必要ですか?好きなものを選んでください。会社がその半分と税金分を負担します。また、融資も行っています。あなたが払う50%を数ヶ月間の分割払いにするということも可能です。もちろん利子は付きません。
買うものにもよりますが、2年後にはそのパソコンやスマートフォン、事務用機器はあなたのものになります。会社の帳簿から除去した後は、そのまま自分で所有しても売却しても捨てても構いません。詳しくはあなたの税理士に聞いてみてください。
私たちが気づいたことは、人は自分が仕事で使っていた機器を所有することを好み、それを半額で手に入れることができるのであれば、本当に嬉しく思うということです。また、自分も半分所有していることになるので、会社からタダでもらった場合よりもずっと大切にケアをするということも言えます。
特典で人々の行動の変化を促し、良い習慣につなげる
私たちはまた、以下のようなものもサポートしています:
- 英語クラス - 私たちチームのほとんどのメンバーの母国語は英語ではなくポーランド語ですが、チームの公式言語は英語にしています。そのため、英語レッスンの授業料を月々一定額まで会社が負担するようにしています。一定額を超えた分に関してだけ社員が自分で支払います。
- ジムの会員権 - 会社とスポーツジムが交渉した結果、特別料金でジムを利用できます。個人で入るよりもずっと安い料金で利用できます。さらに社員には料金の半分だけを自費で負担してもらっています。また、マラソンやトライアスロン、その他の競技会などのレースにも会社として参加しています。そうして、チーム内でスポーツを推奨しています。
- 各種会議、オンラインコース、本 - これらに関しては一定額以内であれば無料で提供し、それを超える分は会社から補助金を出すようにしています。私のチームは皆学習意欲が高いので、新しいことを学ぶのに積極的にお金を使っています。
この他にもまだ試していないことやアイデアはたくさんあります。X年ごとにチームメンバーに1ヶ月間フルのサバティカル休暇を与え、仕事とは完全に離れて充電してもらうという会社もあります。他にも社員が趣味に使うお金を会社が全額支給、または補助してサポートするという奨学金を提供しているところもあります。社員に仕事とは関係のないことを積極的に学んでもらうのを会社が奨励するというものです。
仕事以外で取り組んでいることを皆でシェアしよう
私たちはまた、週末や仕事以外で何をしているかを共有する文化も持っています。趣味や仕事以外のプロジェクトで達成した写真などを #randomチャットチャンネルで送り合っています。隔年で行う会合 (これに関しては本書で後ほど説明します) で直接皆が集まる際に、それぞれの趣味を紹介するプレゼンテーションも行っています。私たちは社員に仕事の役割以上の存在になってもらいたいと思っています。
会社の利益からチャリティに寄付しよう!
毎月Nozbeの法人税を払う際に、利益の3% をチャリティに充てています。それを特別な口座に振り込んでいます。そうして毎月 チャリティファンド は増えていきます。
これはもう私たちのお金ではありません。チャリティの名目で使用されるべきものです。
年に2回、500 EURの支給
年に2回、チャリティファンドからチーム全員に500 EURを支給し、支援したい活動に寄付してもらっています。難病などで募金が必要な人や、地元の非営利団体、動物保護団体、慈善団体など各自がサポートしたいところにそれを寄付してもらうようにしています。こうして最終的には、およそ600 USドルである500 EURは困っている誰かを助けたり、または何らかの社会的問題の解決をサポートしたりするのに役立ちます。時にはチームメンバーの誰かが大きな社会的意義を見つけ、他のメンバーがそれに賛同することで大きな影響になることもあります。
さらにプラスして個人的な寄付もサポート
上とは別にさらにプラスして、誰かが自分のポケットマネーで寄付をした時にも、チャリティファンドから500 EURを上限に同額をカバーするようにしています。こうして、社員が本当に情熱を持ってサポートしている活動に、会社としても有意義な方法で貢献できるようにしています。
社会的意義がある時は、積極的にサポート!
このようなチャリティファンドを持つことで、社会的に意義があると感じた時にはいつでも寄付活動をすることができます。解決しなければならない社会問題はたくさんあり、助けを必要としている人々もたくさんいます。
チャリティのためのお金は、税金を納める瞬間に別の口座に振り込まれるので、感情的にはそれはもう自分たちの会社のお金ではないという感じです。そのお金にはすでにさよならを言ったも同然なので、気前よく何かいいことに使って、社会に還元することができるのです。
1つのキーポイント: 社会のためになるような特典を選ぼう!
特典は、人をもっと働かせようと助長するようなものであってはなりません。彼らはすでに十分働いています。もしもっと働かせることが必要だとしたら、それはチームが何か別の深刻な問題を抱えているということであり、特典では解決できないことでしょう。特典や福利厚生は、社員がより良い生活を送れるようサポートすることに焦点を当てるべきです。そして、それは仕事以外の生活を豊かにすることを推奨するものであるべきなのです。そうすることではじめて、仕事でベストを尽くそうという意欲が湧いてくるのです。
ここで話したテーマについてさらに学びたい方は、アルフィー・コーン (Alfie Kohn) 著Punished by Rewards を読むことをお勧めします 1。
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アルフィー・コーン (Alfie Kohn) 著の素晴らしい本: Punished by Rewards. The Trouble with Gold Stars, Incentive Plans, A’s, Praise, and Other Bribes. ↩