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伝統は過大評価されている

チームや会社として人々が一緒に仕事をしようとなると、どうやってうまく進めて行けばいいのか、最初は五里霧中だと思います。大抵は他のビジネスのやり方をコピーしながら手探り状態で進めて行って、次第に慣れていくのではないでしょうか。他の会社はオフィスを持っている?OK、では私たちもオフィスを持とう。他が「全員参加」「進捗報告」「最終確認」などの会議をしている・・・では、私たちも同じようにやろう。そうすればうまくいくはずだ。そのような感じですよね?そうしてこれらのビジネス習慣がどんどん広がって伝統となっていくのです。これこそが問題なのです:

人は「伝統」に価値をあまりにも置き過ぎます。皆が長い間それをやってきたのだから、良いに違いない と皆言うのです。しかし、それは本当にそうなのでしょうか?

もしかしたら、当時は良かったのかもしれません。様々なものが変化した今、伝統を疑い、再検討してみるべきではないでしょうか?

私が最初に人を雇おうと思った頃、会社を経営することに全く無知だったので、私も他のビジネスを参考にしようと思いました。しかし、私は物理的なオフィスにとらわれずに仕事をしたいと考えていたので、自然と他の「伝統的なビジネスのやり方」に疑問を持つようになりました。そしてすぐに、そのような従来からのビジネスのやり方のほとんどは、完全にひっくり返る必要があるということに気が付いたのです!

伝統的なチームワークは会議から始まる

第7章でもお話しましたが、チームで一緒に何かに取り組む時、従来のやり方では、人々はたくさんの会議を行います。そして、会社の公式な会議や非公式なチャットのはざまの中で、人々は実際に自分の仕事をするための時間を何とか確保しようともがいています。その結果、夜遅くまで残業したり、通常の勤務時間内に意味のある仕事をする時間がほとんどないという不満が噴出してしまっているのです。これは生産的でも効果的でもありません。全く反対のやり方を取るべきです。

実際の仕事を優先しよう

第4章で説明したように、Nozbeでは仕事に集中することを最も大切に考えています。本質的には、私たちが人を雇うのは、その人に実際に仕事をしてもらうためであって、会議やチャットに参加してもらうためではありません。だからこそ私はチームメンバーの時間を大切にし、彼らがやるべき仕事ができるよう十分に余裕を取ってもらうようにしています。

誰もが集中して作業をすることに大半の時間を費やすべきなのです。これがあなたのレベル1の仕事です。このレベルでは、あなたが集中して自分の作業をするということが、あなたのコミュニケーションとなります。

自分の会社での担当に応じて、集中して時間をかけてしっかりとレポートを書いたり、リサーチしたり、マインドマップをしたりしてください。その上で、ドキュメントやプロジェクト、タスクに書き出して共有することで、他の人が見れるようにします。あなたの仕事に集中して取り組んだら、次はレベル2です。

フィードバックをやり取りする

これは会議を開きましょうと言っているわけではありません。違います。私たちがやり取りするフィードバックは非同期で行います。あなたが仕事を完了してそれをチームに送ったら、後はチームから熟考されたフィードバックを待つのです。

相手に「ちょっと電話をかけて」あなたの成果を伝え、「どう思うか?」と相手からの最初の反応をすぐに得ようとするのではありません。これではフィードバックにはなりません。ただ待ち伏せ攻撃をしているだけです。

第5章では書き留めておくことの重要性について説明し、第6章ではメールの使用を止めることの利点についてお話しましたが、相手の都合に合わせて妥当な時間枠を設け、コメントを書き出して返答してもらうことで、しっかりと考え抜かれたフィードバックをもらうことができるのです。

この一連の流れがあなたの仕事にリズムを生み出します。集中した時間を自分の仕事に捧げたら、今度は、他の人の仕事をレビューし、分析し、しっかり消化するために時間を使い、考え抜いたフィードバックを返すのです。こうすることではじめて、あなたのチームメイトも自らの仕事を改善でき、学んでいくことができるのです。

だからこそ良いフィードバックというものは時間がかかります。しかし、それだけの価値があるのです。あなたの周りに様々な視点や専門性を持った人たちがいれば、彼らからフィードバックをもらうことで、あなたの仕事はどんどん良くなっていくのです。

必要に応じて迅速なやり取りを使う

通常、私たちはほとんどの時間をレベル1(集中作業) とレベル2(フィードバック) に費やします。しかし、例えばプロジェクトが終盤を迎えている時などには、このサイクルをスピードアップしなければならないことがあり、そこで、迅速なやり取りが必要になってきます。

これもやはり書いたフォームで行います。私たちはSlackやiMessageのようなチャットアプリを使うか、もしくはチームのタスクマネージャーであるNozbe Teamsを使い、すばやく短いコメントを交換することでこれを行っています。やり取りをすばやく行うことで、より速くゴールにたどり着くことができますが、書いて残しておくことで「紙の証拠」を保持することができます。書いて残しておくことで、チームの誰でも状況を簡単に確認できるので、いつでも参加することができますし、また、後になってこのプロジェクトがどのように「完了」されたのかを振り返ることもできます。これがレベル3です。

説明するのが大変な時は直接話す

微妙なニュアンスを説明したい時や、実演しながら説明したいような時には、直接話したほうが早いこともあります。たくさんの説明を入れてコメントが長くなってしまうのであれば、リアルタイムで議論してみましょう。これが私たちのチームコミュニケーションのレベル4です。

Nozbeでは製品の新機能に取り組む時には3人のグループで仕事をします。デザイナー1人とプログラマー2人です。基本的にはタスクの中で進捗状況などを確認し合っていますが、時折、デザイナーはプログラマーと短いビデオ通話をして、画面を共有しながらリアルタイムで機能をデモしてもらったりすることもあります。こうすることで、デザイナーはすばやくクリアーに開発の進捗状況を確認し、リアルタイムでフィードバックできるのです。また、ビデオ通話の後で追加のフィードバックをコメントで書くことももちろん可能です。

私たちはお互いの時間を尊重しているので、まずはチャットで相手に確認を取ってからビデオ通話をスケジュールするようにしています。藪から棒に電話をかけてお互いの時間を邪魔することのないように心がけています。まず、話すのに最適な時間はいつなのかを確認します。相手に現在取り組んでいる作業を終えてもらってから、話す時間を確保するように心がけるというのが前提です。

また、チャットで相手のスケジュールを確認する際に、何について話したいか、話す時間はどのくらい必要かを大体伝えておくようにします。例えば、「Nozbeの新しい ‘task me’ 機能についての進捗状況について確認したいので、10~15分ほど話せますか?」 というような感じで聞きます。

実際に通話を開始したら、なるべく手短に済ませるようにしています。確認したいことを全て話し合ったら、それで終わりです。通常、電話が終わった後には、話し合ったタスクについて合意したことなどをコメントで書き出し、アップデートするようにしています。繰り返しになってしまいますが、ここでも書き出すことの重要性を強調したいと思います。書き出しておけば、電話の個別会議に参加しなかった他の人にも、何が話し合われたのかを理解してもらえるのです。書き出してアップデートが終わったら、他の作業に集中する時間に戻ります。

本当に必要な時には集まって話し合う

第7章でも説明したように、私たちは定期的に会議をスケジュールに入れ、本当に必要がある場合に限り開催しています。集中して取り組み(レベル1)、フィードバックをし(レベル2)、調整の話し合いをしたら (レベル3と4)、次に、最終段階として議論をします。これが私たちの言うレベル5です。ここに会議が非常に効果的に機能する理由もあるのです。なぜなら、そのような各レベルの段階を経た上で会議が行われるからです。すでにデータは全てそろっているので、後は同意するかしないかということだけを皆で議論するだけです。

私たちはタスクやプロジェクトそれ自体については、会議の中でほとんど議論することはありません。それらについてはレベル1~3の中で話し合われ、調整されているので、改めて会議で話す必要はありません。すでにコメントの中でやり取りして前進してきているのですから。

私たちはこれを「コミュニケーションのピラミッド」を呼ぶ

本章で説明してきたチームコミュニケーションのレベルについておさらいをしたいと思います:

  • レベル1 - 集中作業、または「ディープワーク」レベル。
  • レベル2 - フィードバック、または「WDYT」1 レベル。
  • レベル3 - クイックチャット、または「ダイレクトメッセージ」レベル。
  • レベル4 - 1対1の会話、または「私と話す」レベル。
  • レベル5 - 会議、または「皆で話し合う」レベル。

伝統的なビジネスでは、ほとんどの人は長時間の会議でレベル5に大半の時間を使い、その次に、おしゃべりしながらお互いを干渉するレベル4、そして、チャットアプリで仕事を調整しようとレベル3に移行します。その結果、しっかりと熟考してフィードバックするレベル2や、自らの作業に集中するレベル1の時間がほとんどないという状況に陥ってしまっています。

私たちはこの5段階のレベルを「コミュニケーションのピラミッド」と呼び、さらに、私たちは各段階を完全にひっくり返したやり方で仕事をするようにしています!

私たちは、ほとんどの時間を集中して作業する時間に費やし(レベル1)、 次に、フィードバックにも多くの時間を使うようにしています(レベル2)。 そして、残った時間の中から、必要に応じてチャットをしたり(レベル3)、本当に必要な時に限り他の人と簡単に電話のやり取りをしたり(レベル4)、さらには、完全に任意で、毎週定期的に会議を開催しています(レベル5)。

レベル1~2は非同期で、レベル3~5はリアルタイム

コミュニケーションのピラミッドの最初の2つのレベルと、残りの3つのレベルの重要な違いは、最初のレベルは完全に非同期で行われるということです。基本的に、それぞれがそれぞれの好きな時間で仕事をしています。集中作業と熟考したフィードバックの両方は、他の誰からも中断されることなく行われます。

そしてこここそ、理想的にはあなたが一日の大半を過ごす場所であるべきです。

一日の時間の半分以上はレベル1と2に使われるべきであり、レベル3~5に費やす時間はなるべく少なくするべきです。1から5に上って行くにつれてどんどん時間が少なくなります。これがピラミッドの形をしている理由であり、伝統的な仕事のスタイルとは完全に真逆な形である理由なのです。

1つのキーポイント: ピラミッドの各レベルにどれだけの時間を費しているかチェックしてみよう

コミュニケーションのピラミッドをあなたの仕事に適用する前に、1、2週間かけてあなたの仕事を各レベルに分類してみましょう。集中作業にどのくらいの時間を費やしましたか?フィードバックに費やした時間はどのくらいでしたか?チャットや会話、会議にはどのくらいの時間を使いましたか?

理想的には、集中作業 (レベル1) に最も多くの時間を使い、次にフィードバック (レベル2)、さらに少ない時間をチャット (レベル3) に、できるだけ最小の時間を対話 (レベル4) と会議 (レベル5) に使うというのが好ましいやり方です。

「コミュニケーションのピラミッド」のコンセプトや、Nozbeを使っていかにそれを応用しているかについてもっと知りたい方は、私の無料のeBook 「No Office apps」2をぜひお読みください。

  1. WDYTは “What Do You Think? “ の略です。私たちは仕事が完了した後によくこのフレーズを使ってチームに質問しています。 

  2. 無料のeBook「No Office apps」PDF版をぜひご利用ください。 

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