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第5章 - 書き留めておくということ

「書くことを企業文化とし、口約束には依存しない」

頭の中がいっぱいですか?それではダメです!

私たちは皆、いつも忙しくしてます。誰かに「調子はどう?」と尋ねられると、たいていの人はこのように答えます:

  • 「やることがいっぱいあって大変だよ!」
  • 「忙しくて、余裕が無いよ!」
  • 「やることが多すぎてうまく対処できないよ!」

そうですね、分かります。あなたは忙しい。私たちは皆、とても忙しい。しかし、もしあなたが頭の中に全てを入れたまま、それら全てに対応しようとするというやり方を取っているのであれば、その習慣を変える必要があります。

つまり、書き留めるということを始める必要があります。これはあなただけの問題ではありません。あなたのチーム全体で書き留めるという習慣を導入すべきなのです。

あなたやチームが仕事に追われて過労になったり気が狂ったりしたくなければ、情報を覚えておく方法や、人から人へ情報を受け渡すやり方を変える必要があるのです。

口約束だけで覚えておくようにするのはやめましょう。

それでは効果がなく、持続性もありません。

書き留めておくこと

「あなたの頭はアイデアを作るところであって、留めておくところではない。」 デビッド・アレン著「Getting Things Done」

私が初めてデビッドの本を読んだ時1、一番印象に残ったアドバイスはまさにこの言葉だったのを覚えています。物事を頭の中に留めておかないこと。その代わりに、信頼できる生産性システムに書き留めておくこと。この本を読んでからまもなく、私はNozbe2を作り、その実践を試みました。

なぜ頭の中にたくさん抱え込むのは悪いことなのか?

あなたの頭は時々いたずらをします。例えば、あなたが一日の仕事を終えて夕食を食べている時、どこからともなくふいに心の声がしてきます: 「そういえば、クライアントに予算案をメールするのを忘れずに覚えておかなくては。」 その時、あなたはこのように思うかもしれません: 「なぜよりによってこんなタイミングでそれを思い出したのだろう?明日の朝でも、10時のミーティングの後でも、パソコンの前に座ってメールを書いている時でもなく、なぜ今?」

なぜならば、あなたの頭や心はあなたの役に立とうとしているのです。あなたがそのことをまだ書き留めていないのを知っており、あなたがそれを忘れないようにと働きかけているのです。頭にはアラームなどがないので、ランダムなタイミングで覚えさせようと働きかけます。

もし事前にそのことを明日のタスクとして書き留め、時間や期限を設定しておいていたならば、あなたは平穏に素敵な夕食を食べることができたでしょう。それをしていなかったから、あなたは今こうして、覚えておかなくてはという心配に頭が支配されているのです。

頭の中に物事がいっぱい入っているのならば、それは間違ったやり方をしているということです。

どこに書き留めておけばいい?どうやってやったらいいでしょうか?

いろいろなやり方がありますが、基本的なルールは次の通りです:

  • ミーティング 予定されているものは直接カレンダーに書き入れましょう。
  • ふと思いついたいいアイデア どこに書き留めてもいいですが、必ず後で振り返れるようにしておきましょう。デジタルメモ帳やスマートフォンがいいと思います。
  • やるべきこと デジタルタスク管理システムやTo-doリストなどを使いましょう。
  • 誰かをフォローアップ その場ですぐに直接ショートメッセージやメールを送りましょう。

これらを実行するためには、信頼できるシステムと場所を持っておく必要があります。どこに置いておくか、どこに置いてあるかをいつでも把握しておく必要があるからです。さらに、何かが起きたらすぐに書き留めることが可能な状態でなければいけません。

誰かがイベントの予定を発表したら?すぐにカレンダーに記入しましょう。とりあえず覚えておいて、後で記入しようなどとは考えないでください。物事が来たその瞬間に書き留めておく習慣を身につけましょう。

特に、現代はスマートフォンがあるので、デジタルカレンダーにイベントを追加したり、口述でメモを記録したり、ボイスメッセージを送ったり、などということをとても素早く簡単に行うことができます。

すぐに書き留めておくというチーム文化を作ろう!

物事をすぐに書き留めるという習慣をあなたが身につけたら、今度はその「物事を書き留めておく」という行動をチームへインストールしましょう。私たちは次のようにスタートします:

私にタスクして

何かを誰かにしてもらいたい時は、書いてお願いしましょう。もちろん最初に相手と話してもいいですが、話をした後でも、チーム内で使っているタスク/プロジェクト管理ソフトを使って、話した内容のタスクを作成することを習慣化してください。これを私たちは「タスクベースのコミュニケーション」と呼んでいます3

私のチームでは、これを習慣化しています。会話の中であなたが: 「こういうことをやってくれないかな?これとあれが必要なんだけど」と話しています。すると相手は:「いいよ、じゃあ、それを私にタスクしてね!」と答えます。

このようにして、タスクを作成する過程で考えをもう一度まとめることができ、コメントや参考資料などを添付して要求する内容を補足するなどしてから、相手に渡すことができます。

ここがとてもいい点です。こうすることで、あなたの要求についてのあいまいな点が解消され、もしまだ必要なことがあったとしても、ただコメントするだけで相手は簡単に追加情報を求めることができます。

情報はいつも同じ場所に

近藤麻理恵のようになりましょう4。チームのプロジェクトやタスクにシステムを導入するのです。社内のチームのドキュメント用に1つシステムを用意します。あなたがソフトウェア開発をしている場合には、コード用にもう1つ導入してもいいでしょう。チームの皆が認識しているのであれば、それらは異なるシステムでも同じシステムでも構いません。重要なことは、どこに何があるのかを皆が共通して認識しているということです。

そうすれば、混乱することもありません。後は、あなたはこう伝えるだけでいいのです: 「これを仕上げたので内部ネットワークにアップしておいたよ」「ACMEプロジェクトにタスクがあるよ」などなど。そうすれば、他の人が必要な情報をあちこち探したりと時間を無駄にすることもありません。

また、あなたが休暇などで不在の時でも、同僚があなたに緊急メッセージしてくることもありません。彼らはどこに何があるかを把握しているので、自分で必要なものをすぐに見つけることができるのです。

繰り返すトピックスやガイドライン - 書き出しておけば、後はそこに案内するだけ!

過去すでに話したことと同じことを、他の人から何度も聞かれることはありませんか?私の場合にはそういうことがとてもたくさんあります。きっと皆さんもそうだと思います!

だからこそ、繰り返しが起こるような事柄は、少し時間を取ってでも書き出してしまいましょう。それに関してのあなたの考えや、これまでの経過など全ての詳細を書き出しておきます。

次に誰かに同じことを聞かれた場合には?まずはそれを読むように伝えましょう!もしくは、私たちのようなオタクが使う言葉で: RTFM (マニュアルを読んでくれ)!5

社内でコメントしてやりとりできるアプリを使おう

コメントが書けるというのが重要なポイントです。2020年の今、コメントを可能にする最新のアプリを使わない理由はありません。以前にもお話したかもしれませんが、私たちは社内の生産性システム「Nozbe Teams」6 を使い、タスクにコメントしてやりとりしています。

他にもコメントをポストしてやりとりできるアプリがありますので、ぜひ利用して文章化する文化をチームで育んでください。

  • コードを書いていますか?Github7 ではコードのラインをプルリクエストするのにコメントができます。
  • テキストを書いていますか?Dropbox PaperやGoogle Docs8 ではどの段落にもコメントができます。
  • ファイルについてやりとりしたいですか?DropboxやBox9 のウェブインターフェースではファイルにコメントできるので、フィードバックを簡単に送ることができます。

これらはほんの一例です。コメントを追加することで、チームにフィードバック主導の素晴らしい習慣が生まれます。Word文書をメールで送るのはやめ、最新のオンラインツールを使ってコラボレーションを始めましょう。

会議の議事録は任意ではなく義務である!

本書の後の章で、会議/ミーティングのモダンな運営方法について詳しく説明しますが、ここでは特に重要なポイントを1つだけ挙げておきます: 会議のまとめを書く人を決めておくということです。

会議の議事録は、会議の内容を時系列で書く必要はありませんが、何が議論されたのか、何が同意されたのか、次のアクションは何か、などを箇条書きにして書いておくのがいいと思います。

重要なことは、誰かが書き留めておいて、社内のシステムで公開し、チームメンバーがいつでも必要な時に振り返り、考察できるようにしておくことです。誰でもコメントできるようにしておくのも大切です。

書き出すことで得られるメリット

  • 大事なことを忘れるというのがなくなります - 大切なことを書き出して、きちんと管理しておけば、忘れることもありません。
  • 何度も同じことを説明する必要がなくなります - 一度まとめて書き出しておき、後はそこに案内するだけでいいのです。
  • いつでも後で参照できます - 都合のいい時に振り返ったり、リンクを貼ったりできます。書き出しさえしておけば、後で訂正するのも簡単です。
  • 透明性が高くなります - 何が起きているか誰でも把握できるので、会話から取り残されていると感じることもありません。遅れを取り戻すのも簡単です。
  • 全員が会議に参加する必要がなくなります - 議事録があれば内容を確認できるので、会議に参加する人数を削減することができます。
  • より良いフィードバックにつながります - コメントを後から投稿できるので、時間を取って深く考察できます。
  • カオスが減り、ストレスがなくなり、生産性が向上します - チームや会社に何が起きているかを自分でしっかりと把握でき、目の前の次のタスクに集中できます。誰かの言うことや噂話などに振り回されるストレスもありません!

1つのキーポイント: 書き留めておく習慣を身につけよう!

まずは自分自身から始めてください。書き出しておくことを習慣にします。それから、フィードバックを書き出す文化をチームに取り入れましょう。書き出してあれば、後でいつでも好きな時にアクセスでき、リンクでき、参照でき、そして改善することも簡単に可能にします。

生産性の基本についてもっと知りたい方は、デビッド・アレン著「Getting Things Done」1 、及び、私の著書「生産性を高めるための10ステップ」をオススメします。 10

  1. 「Getting Things Done. The Art of Stress-free Productivity (仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法)」 デビッド・アレン(David Allen)著  2

  2. 2013年の私のインタビュー ではNozbe の創業からをとてもくわしく説明しています。 

  3. タスクベースのコミュニケーションについてはこちら をお読みください。ビデオもありますのでご覧ください。 

  4. 近藤麻理恵は世界的なベストセラー: The Life-Changing Magic of Tidying Up (人生がときめく片づけの魔法) の著者です。 

  5. RTFM とは “Read The F**king Manual!” の略です。 

  6. 自分たちの宣伝となってしまいますが、“Nozbe Teams” は私が設立したアプリであり、私たちはもとより、世界中のたくさんのチームが社内コミュニケーションに利用しています。 

  7. GitHub - プログラマーでなくてもGitHubを使ってライティングをする ことについて書いています。 

  8. 共同ライティングに最適な素晴らしいアプリです: Dropbox Paper、及び Google Docs 

  9. クラウド上にファイルを保存するためのアプリです: Dropbox はより消費者向け、Box はより企業向けの製品です。 

  10. 個人の生産性についての私なりの見解です: 生産性を高めるための10ステップ (10 Steps to Ultimate Productivity) 

Next: 第6章 - 社内のやり取りにメールを使うのを止める

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